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〔web magazine〕interview

HIRORO interview - あおグラ2022

あおグラ2022

青森のデザイナーを繋ぐ

2022年9月15日からヒロロ特設会場にて実施されている、「あおグラ2022」。
青森県内で活躍しているグラフィックデザイナーの活動紹介と作品展示は、今回2回目の開催となります。
JAGDA青森の千葉さんに話を聞きました。


――― 先ずは6月に青森県立美術館で開催されたJAGDA青森2年展についてお話を聞かせてください。

千葉さん:毎年JAGDA青森と言って、日本グラフィックデザイン協会の青森会員の人たちが集まって、JAGDA主催で青森市の県立美術館で1年展っていうデザイナーの展示を開催しています。その中で、今回は2年展って形でやらせて頂いて、その作品の一部をヒロロさんの方で展示して貰ってます。今回はパネルを中心に展示させて頂いてます。

――― それが今回の「あおグラ2022」ということで開催されるわけなんですけども、2年展だったということはやはりコロナの影響ですか?

千葉さん:そうですね。毎年1年展という形でやってたんですけど、去年はちょっとコロナで開催できなかったので、その分と合わせて2年展っていう形でやらせて頂きました。去年、ヒロロさんの方で展示させて頂いたので、その時と同じものを展示してるものもあったりするんですけど。

あおグラ2022

――― 例えばデザイナーの皆さんにとって、コロナの影響とはあったんでしょうか?

千葉さん:そうですね、人によって違いますが。世の中が紙物からデジタルに移行している時代の中で、このコロナになったことでもっとそれが進んだというのがあったので、グラフィックデザインっていう幅も変えていかなきゃいけないのかな?と、今ちょうど瀬戸際なのかなと思ってます。
どうしても商売する方が少なくなると広報する機会も少なくなるので、自然に広告というものも減っていくし、紙で伝える事が出来ない今の時代なので、どうしてもウェブとかデジタルの方に移行して、ポスターというものも減ったとか。なので、ここに展示してるものは割と誰かが見たことがあるっていうのはあるんですけど、イベントのポスターとかそういうものはやっぱりだんだん減ってきてると思います。

――― 未だにそうなんですね。

千葉さん:そうですね。大きいイベントがそんなにまだ大々的に開催してないっていうのもあるので。来年以降少し戻ってくればいいなぁと思っているんですけど。商品を作って売っても、今は流通先も少なかったりするので、ちょっと開発のスピードも遅くなってたりとかそういうものもあり、思うようには皆さん進んでいないと思います。

――― 地域性とかもあるんですかね。

千葉さん:青森の地域性もあるとは思います。コロナとか災害があると、復興するには時間がかかる傾向にはあって、東京だと結構すぐ復活、切り替えるのが早いんですけど。ちょっと青森の方に来ると、そのスピードが遅くなるので、なかなか皆さん難しいのかなという気はしてます。

――― そういった中での2年展ということだったんですけども。デザイナーの方達はこれまでの意気込み的に違ってると感じる事ってありますか?

千葉さん:やっぱりこの展示をするようになってから皆さんの意識、デザインに対しての意識は少し変わってきて、レベル的にも少しずつ上がってます。人のデザインを見て刺激になったとか、身近にこうやって展示するってなかなか少ないので。
展示したりすると、もうちょっと頑張らなきゃとか、なんか意外にうまくいったなとか、皆さん思いを持って展示に参加してると思います。技術の向上にもなるし、自分たちの意見とか考え方の共有もできたり、いろんな面でメリットはあります。

あおグラ2022

――― 展示会という一つのイベントが新しい出会いの場にもなりますか?

千葉さん:そうですね。展示会をすることでデザイナーは青森にも意外にいるんだねっていう声を割とよく聞くので、そういう声があるって事は、デザイナーも受けとめた方が良いのかなって。
そういうところでも、イベントは積極的にやれればやりたいなぁと思っています。ただ見せるものと今度はうまくマッチング出来るような工夫もしながら「青森のデザイナーこんなこともできるんですよ」ってところももう少し見せていけたらなっていうのが今後の課題です。

――― 今回実施した2年展以外に、今そのJAGDA青森で取り組もうとしている、何かそういったものは、ありますか?

千葉さん:また八戸の方でも展示を予定しております。それ以外に、今後はウェブでもデザイナーがマッチング出来るアーカイブを少し用意できると良いなという声も多いので、その辺の環境も整えていきたいと思ってます。私たちも繋がっていないデザイナーもまだまだ沢山いるので、そういう人達も繋がっていければいろんな情報は共有できるのかなと。
割と最近補助金が多く出て、商品開発とかいろいろやる中で、サポートしてくれる団体は結構あったりするんですけど。じゃあデザイナーに繋げようとなった時に、デザイナーの情報が少ないので、いつものデザインを変えたいなって思っても、誰に頼んだらいいのか、その辺をもっと幅広く展開するためには、もっと情報が欲しいなって声も聞くので。

直接ビジネスにつながるような仕組みっていうのは必要になってくるのかなと思っています。
最近だと地元で一からデザインする機会っていうのが割と増えてきたので、すると地元にいて地元で頑張っている人とうまくマッチング出来れば一から一緒に商品を作ったりすることができるので。
お客さんもそれを望んでいるとは思うのですが、本当にこの人ちゃんとできるかなとかいろんなことを思って有名な人に出すしかないのかなって思ってる方も多いので、デザイナーも、「こういうの出来ます」というのを出していく事で、お客さんに選んでもらえる環境を作りたいなぁと。

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――― 地元の企業さん、事業主さんとかも、デザインに関する意識も変わってきたというところもありますか?

千葉さん:世の中からデザインっていう言葉を聞くようになってきた。例えば<地域デザイン>とか<グランドデザイン>とかデザインという言葉が社会の言葉の中に出てきている。社会にデザインが必要だっていうのは認識の中で増えてきています。ですが、<グラフィックデザイン>という単体で考えた時に、まだまだ知名度というかグラフィックデザインって、何だろうって皆さん分からない部分もあって。その辺をこういうものですよっていうのをデザイナー側からちゃんと発信していこうと皆と話しています。

――― 皆が意識を持ってくれると。

千葉さん:意識が変わってくれると、こちらの意識も変わるので、お互い良い関係を築けるようになれば良いなと、思っているんですけど。その為には皆のレベルも上がって行かなきゃいけないし。

――― 今後もこのような展示会は積極的にやっていくと。

千葉さん:そうですね。皆さんが参加しやすい感じで築けていけたらと思ってます。

あおグラ2022

――― ヒロロの「あおグラ」はヒロロのアートプロジェクトの一環としてやっているのですが、その一つの目的としては若い方達に情報を発信し、青森にもこういう職業もあるんだよというのをどんどん見せていきたいという思いもあるんですけれど。

千葉さん:デザイナーに興味を持っている方はそれなりにいるとは思うんですよね。ただこっちでデザインの仕事ってあるの?と思うと思うので。であればもっと自然にこういうところで展示などを見ると、青森にもいるんだなって思ってもらえると思います。

――― そうですよね。多少そういうのに興味ある若い人たちに対して、デザイナーである千葉さんからアドバイスというか、デザイナーを目指している人がいたら今どういう風にしていったら良いのかっていうのありますか?

千葉さん:最終的には本人のやる気の問題になっちゃうんですけど(笑)、割と皆さん経歴がバラバラで。デザイン学校に行ってデザイン会社に入って独立したって人もいますけど、青森ではごく一部で、全然違う職業についいて、やっぱり好きだからっていうので、こっちの世界に入ってきたっていう人が割と多いので、やりたいと思った時がやれる時っていうか(笑)。
そういった感じで全然良いと思います。もちろんそのためには色々経験が必要だとは思うんですけど。自分を表現する事が好きで、お客さんが喜ぶ姿を見るのが喜びに変わるのであればやれるのかなって。

――― 学生さんとか不安といいますか分からない事でいったら、何をどういう勉強をしたらいいんだろうっていうのがあると思うんですけど。

千葉さん:そうですね。デザイン思考を学んで来ればよいって話にはなるんですが。

――― 思考?考え方ですか?

千葉さん:考え方ですね。技術っていうのは割とついて来るものなんですね。自分のクリエイティブな能力を高めていったり、デザインっていうものは何なのかデザインの考え方っていうのを学ぶと、最終的に作らなかったとしてもデザインの現場にいる事ができるんで、自分がデザインの仕事に携わりたいんだって思う人は、デザインの思考だったりアートの思考だったりってものを学んでいくと近い未来があるんじゃないかと。

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――― 例えば具体的にいうとそういう考え方なりを知ろうと思うと、書籍や直接聞くとか色々あるとは思うんですが、どういう方法が有り得ますか?

千葉さん:方法は何でもよくて。今はネットを見ればいろんな情報があったりもするし、そういうアートやデザインのサイトは結構あるので、それを見るのも良いんですけど、実際展示してるものとか展示している人がいた時に話をするのは、すごく刺激になるのかなと思います。コロナの前はそういった学生とか興味あったらっていうので交流会を定期的に開いていたんですよ。

――― そうなんですか!

千葉さん:グラフィックデザイナーの輪っていうことで、飲み会ですけど、学生でデザイナーを目指している人とか、社会人なんだけどデザインをやりたいって人も参加して良いですよっていう。
それもまた開催出来たらと思っています。2カ月に1回とかやれていたので、一人、二人地元の学生さんが参加したり、勿論コピーライターさんだったりカメラマンさんとかそういった人も参加するので、デザインが身近な人達とお話しできる機会という。

――― なるほど

千葉さん:紙に起こす手前の仕組みっていうんですか。SNSを使いたいとかZ世代に向けてちょっと動画作りたいとかなるとビジュアルの前にいろんなことを考えなくてはいけない。そういった人が増えていくと、もっともっと面白い職業になっていくのかなって思っています。
アイディアを持って、そのアイディアを形にする人っていうか。アイディアを伝える人もしくは作る人両方いて一つもものができるのかな。

――― まさしく情報デザインっていう感じですね

千葉さん:そうですね。今は人の行動までもデザインしちゃうので。今まではテレビと新聞を見ると人が集まるっていうシンプル(笑)であったものが、それだけじゃなくなったので。どこから人を集めるかっていうのがすごく重要になってくるので、そこを考えるのが結構難しい。
それを考えられるともっといろんなデザイナーの仕事が増える。個人的には仕事を増やす方法を色々考えていて、何ができるか分からないですが。

千葉さん:デザイナーは作る仕事ですけど、作る前に誰かが仕事を持ってこないと、もしくはお客さんが仕事をお願いしないと発生しないものなので、そこをもっと自分から作っていってもいいんだろうし、もっと最初につながっても良い、もっとやりようはあるのかなと。仕組みをちょっと変えて行く流れにはしていきたいなと。

――― 今日はありがとうございました。

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