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ホーム / 〔web magazine〕小路幸也「空を見上げる古い歌を口ずさむ」
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小説家 小路幸也

小説家 小路幸也

空を見上げる古い歌を口ずさむ

本ページのタイトル「空を見上げる古い歌を口ずさむ」は、小路幸也の作家デビュー作品のタイトルである。
小路幸也は1961年、北海道旭川市パルプ町で生まれる。
旭川市は札幌市に次ぐ北海道第二の中核市であり、町の基幹産業である当時の製紙工場地帯がデビュー作品である本作の舞台ともなっている。

20年前、兄が言ったんだ。「誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい――」。
みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える――。
息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。
家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く<サクラバ>や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。

インターネットやSNS、テレビゲームが登場していない昭和の時代に、誰もが経験する子供達特有の「遊び」や「怖い話」、大人になっても未だに理由付けできない「不思議な体験」、家族や友達との「秘密の話」が物語の中で事件として進行する。
子供だった時の事を思い出しながら、自分に起きた様々な事件も、そのような結末が待っていたのかも、などと想像しながら読み進めてしまう作品である。

「空を見上げる古い歌を口ずさむ」「東京バンドワゴン」

小路幸也の学生時代は仲間とバンドを組み、卒業後もミュージシャンの夢を追いかける日々であったが、24歳の時にひとつの区切りとして、札幌の広告制作会社へ就職。 ライター、エディター、プランナーとして勤務する傍ら、「自分だけのものを創りたい」という思いから小説を書き始め、30歳の誕生日に「職業として」の作家を志す。
1999年、38歳で広告制作会社を退社。フリーとなり、シナリオライターでゲーム制作に参加。村上龍原作のPS2ゲーム『五分後の世界』でアンカーシナリオライターを務める。また、専門学校でゲームシナリオ講師として教壇にも立つ。

2002年11月「空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction」で第29回講談社メフィスト賞を受賞し、翌年2003年4月に同作にて作家デビューする。
以来、年間10作品前後をコンスタントに発表している。
2006年に出版された「東京バンドワゴン」はシリーズ化され、現在まで年1作のペースで続編が刊行されている。2013年には、日本テレビでテレビドラマ化される。

子どもや若者の無垢で繊細な心や、友だち・仲間・家族といった人との繋がりの中から心の傷を癒したり、希望を見出そうとする人々を小路幸也特有の包み込むような優しい感性で描き、青春小説・家族小説からミステリー・SFまで多彩なエンターテインメント作品を次々と発表している。

 

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