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あおもりのグラフィックデザイン展

あおもりのグラフィックデザイン展

――― 今日はアートディレクターであり、公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)青森地区代表の和久尚史さんにお話を聞いていきます。和久さんは、どういうきっかけでデザインの道に入ったのかお聞きかせください。

和久さん:元々は全然違う畑の仕事をしていました。大学も法学部だし法律を勉強していて、7年くらい司法書士事務所で司法書士補助者として働いていたんですけど、当時パソコンが出始めでパソコンが使えるんだったらホームページ作れるでしょみたいな軽いオファーがあり(笑)、なのでグラフィックと言うよりもウェブが先なんです。

――― ウェブの方が先だったんですね。

和久さん:で、作れるでしょって言われて、ん~どういう理屈かわからないですけど作れるでしょって。じゃぁ本職にしてやってみようかなっていうのが最初です。

――― 今はグラフィックもやってるわけですが、ウェブからグラフィックになった時に、違和感みたいなのはなかったですか?

和久さん:当時ホームページというのが出始めというか、windows95、98が出てのあたりなので、まだ作れる人っていうのはプログラマーが、ちょっと作るみたいなダサいホームページしかなくて。なんかかっこいいの作りたいんだけど、ウェブのデザインっていうジャンルもまだそんな確立はしてなくて、デザインっていうのをやるんだったら、ちゃんとやらないと何もならないぞと言うところで、グラフィックを勉強しました。
その後、ウェブを作って下さいってお願いしてくれた会社の人がロゴとか名刺とかパッケージとか出来ないかって言われて。やったことないですけど「出来ます!」って言って(笑)なのでちょうどインプットとアウトプットが良い感じで出来る環境になって。

――― 自然とリンクしていったみたいな感じですね。

和久さん:そうです、そうです。これ面白いぞって。良い滑り出しは滑り出しですね。

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――― 影響を受けたデザイナーとかアーティストですとか誰かいたりしますか?

和久さん:やりはじめは、どうだろ。いないですね。ていうかそもそも知らないっていうか。いろんな雑誌だったり作品集だったり、ネットサーフィンしたり。で、「これいいな」みたいなのを入れていってるっていう。ジャンルが違うところから急にぽっと入ったので、ベースもないし拠り所がないので。知り合いもいないし。
なのでJAGDAみたいな、そういう人たちがいる団体みたいなのに属しておけば、何となく自分が何者かっていうのがわかるかなって。資格とかもないし言っちゃえばデザイナーになれるじゃないですか、変な話。心の拠り所みたいのが自分にないんで、そのためにも入りました。

――― 何年ぐらい前にJAGDAに入ったんですか?

和久さん:入ったのは、何年前だろ?15年は経ってると思います。

――― ウェブの仕事をやり始めて割とすぐ入った感じですか?

和久さん:そうですね。3年くらいしてからじゃないかな~。ウェブは協会みたいのもあったんで、そっちにも入ったんですけど、なんかちょっとデザインっていうよりもIT会社の社長みたいな人が多くて。ちょっと違うぞと。クリエイターっていうより経営者みたいな人が多くて。なんかちょっと違うな~って感じで。

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――― 司法書士事務所を辞めてからデザイナーに?

和久さん:1年ぐらい並行してます。最初のホームページ作れますか?やってみますって言うところからは2年。1ヶ月ぐらいかけて作っては気にいらないんで、また作りなおしてってというのを1年くらいやってたんです。そこで何となくスキルを覚えた頃に、別に「作ってまーす」って発信してるわけじゃないんですけど、「お宅のいいね。うちのも作ってくれない?」みたいなのが、最初の会社の方で、その方が自分の関連の所とかを紹介してくれて。なので、報酬を得ながらって言うのは1年ぐらいです。

――― 元は司法書士補助をやられて、ある意味全然違う世界に入ったわけですが、その時葛藤はなかったですか?

和久さん:なくはないです。一応、その司法書士になるべく試験勉強をして試験も受けてるんですけど、受かってないというのと、作る方の作業が楽しすぎたっていうこと。今思うと相性というか、性格的にはこっちだった。全く法律関係の脳みそではない。右の脳しか使ってない人間が左の脳を一生懸命使おうとしてたんで(笑)。

――― なるほど(笑)それは何歳くらいの話ですか?

和久さん:30歳の時に。今思うと25ぐらいからやれてたら違うんだろうなって気もするし、大学に入る前からこういう世界がある事を知っていれば、また違うんだろうなと思うけれど、それでも司法書士補助を30歳までやってた事は、それはそれで、他の人にはないベースになってるのかなっていう気もします。ベースがないのとか、デザインの基本を勉強してないとか、拠り所がないとかが、ずっとコンプレックスだったので、それが逆に原動力になっているのかなっていうのはあります。

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――― 現在はどういったのデザインの仕事が多いですか?

和久さん:えっと。ざっくりですけど、ウェブ半分、グラフィック半分って感じです。もう一人、一緒にやっているクリエイターがいて、デザインした物の後処理を仕上げるという所までやってくれるので。グラフィックも結構いろいろですね。でも結局ウェブもやるので、最初から全部みたいなのが多いです。
例えば、お店作るんでロゴ作ります、名刺作ります、パンフレット、チラシ作って、ホームページも作る。「店舗の看板どうしましょう?」とか、「内装の壁紙どれにしたら良いですか?」とか、そういうところまで聞かれるし、「壁は何色にしたらいいですかね?」という時もあります。建物建てる以外は、なんでもやっちゃうみたいな感じになっちゃってます。

――― 楽しそうですね。

和久さん:楽しいですね(笑)「ビビりながら」でもありますけど(笑)、やってないことも出来たりするので。

――― 初めてのものの依頼があったら、それはその世界を勉強しながらという事もあるんですか?

和久さん:そうですね。それこそ最近だと動画系が多かったりするんですけど。写真も撮るし、動画も撮る。

――― 動画も?

和久さん:最近ちょっと始めていて。私が撮って、もう一人の彼が編集して。こうやって編集してっていうのは私が指示して。こっちでやってると、全部できた方がいろいろ仕事も来ると言うか。全部がフックになるので。自分が出来なくても、もう一人もいるし、仲間がいるので。デザイナーもカメラマンもライターさんもいますし。その人達と仕事をすると、自分が悩んでいるところがクリア出来るので、あとはもう「できまーす」みたいな事が多いです。助けてもらったり、盗んだりしながら(笑)。

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――― JAGDAという団体がどういう団体なのかっていうのを説明していただけますか。

和久さん:略称がジャグダでJAGDA(Japan Graphic Designers Association)公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会です。全国に3000人以上会員がいる日本で唯一のグラフィックデザイナーの職能集団です。

――― そこでは実際にはどういった活動をしているのですか?

和久さん:会合もあるし、全国の都道府県ごとに、青森地区、岩手地区とかあります。地区単位で事業をしてるので、その事業が何月にどこでやりますっていうような案内も来るし、あとはJAGDA年刊っていうのがあって、その年の応募した作品の優秀な作品をまとめた書籍があるんですけど、それに載るのが名誉じゃないですけど目標です。
大体有名なデザイナーの方ってJAGDAの新人賞をとった方がほとんどで。法人なので、年1回、全国の総会もあります。その時は何千人というデザイナーがどっと集まるので、総会に行くだけでもだいぶ楽しいですね。

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――― 今回の3月20日から始まるヒロロでの展示会は、どういった内容ですか?

和久さん:いつもはグラフィックデザイナーの一年展っていうのを開催していて、その年に実際に仕事した商品だったり広告だったり、デザインの中から自分が自信あるやつを展示して、審査員に審査してもらって、1等賞を決めるっていうデザイナーの運動会みたいなのをしてるんですけが、今年はコロナの影響で中止になりました。
今回の展示会は基本的に同じような内容で審査がないのと、一年展じゃないので今までやってきた仕事の中から、自分の自信があるというか、好きだというデザインを展示するいうかたちです。いつもの一年展よりギュッと面白い、良いデザインが集まってるものになるんじゃないかなと思ってます。

――― 参加されるアーティストは全員青森県内の方ですか?

和久さん:そうですね。

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――― 展示会をヒロロという商業施設で開催する。そうすると観に来る方達も今までとはちょっと違った感じになると思うんですけど、そういった方達にこういった所を見てもらいたい感じてもらいたいなって所がもしあれば、教えてください。

和久さん:もうすでに世の中に出ているデザインばかりなので、目にしたことがあるものも結構あると思うんです。現在売っているモノや、もう終わったサービスだけど、前にみたことあるな~とか、そういうのがあると思います。そのデザインがどういうコンセプトで、どういう考えで作られたのかがわかるし、それこそトークショーだと実際にその人がいるので、この人がやってるんだなっていうのもわかるし、それが面白いのかなって。顔が見える、裏話が見える。ぱっと見ただけだといいなって思っていたのに、実はこういうストーリーがあったんだなっていうのを知ると、更に面白い、みたいなのがわかるかもしれないですね。

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――― ただ広告として見るということよりも深く楽しむことができると。

和久さん:そもそも、これを仕事にしてる人がいるって事を知らない人が多いと思うので、実際やってる連中がいるんだぞって、まず存在を知ってもらえるかなっていう。それで本当仕事になってんのかって思ってる人もいるみたいなので(笑)。

――― 来てくれれば、直接聞くこともできるかもしれない。

和久さん:そうですね。

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――― JAGDA青森として、今後どんな活動をしていきたいですか?

和久さん:5年くらい前から一年展をやってるんですけど、これは、こういう事を仕事にしてる人たちがいますっていうのを知ってもらう内容です。実際こういう人たちはこういうことをやっている、ただデザインっていうと絵描いてるだけって思ってる方もいたりするので。
そうじゃなくて、いろんなデザインがあるよっていうのを知ってもらえる。あとはこういう人がいるのでデザインについてちょっと悩んでるというか、気になり始めてるというか考え始めてる人がいたら、ここにいるので使って下さいじゃないですけど、声かけてなんか一緒にやれるきっかけになればいいかなと。どんなことしてるのかどんなもの作ってるのか、そのデザイナーによって全然雰囲気が違ったりするので、うちの会社はこの人のこの感じがいいな~とか、選択肢が増える。そういう活動をしていきたいと思っています。

――― 今日はありがとうございました。

 

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